引越しをお考えの方々へ。元引越し屋が引越しの料金の決まり方と引越し費用の抑え方をお教えします。②
引越しをお考えの方々へ
さて、今回は実際にどうしたら引越しの費用を抑えることができるのか、についてお話をさせていただきます。
一口に引越し費用を抑えると言っても、様々なポイントがあろうかと思います。
家賃等の不動産に関することは、筆者は門外漢ですので、引越し作業に係る料金を抑える方法をお教え致します。
これを読んで下さった皆様が、気持ちの良い引越しができることを願っております。
1?.究極の節約・・・自力!
とは書きましたが、正直言うと全くお勧め致しません。
単身で、極めて荷物の少ない、大型の家具・家電がない方なら独力、あるいは知人の力を借りて、作業も行えましょう。が、大型の家具・家電がある場合は、家財が傷付くだけではなく、引越し元・引越し先、双方の家屋に損傷を与える危険性が生じます。
ここはひとつ、引越しのプロの力を借りましょう。
⒈時期から考える
皆様もご存知の事でしょうが、3月・4月は引越し時期のピークなので割高になります。
前回の引越し料金の際にもお話しましたが、9月・10月も引越し時期としては避けたいところです。
上記以外の期間であれば、引越し料金はかなりの割引が期待出来ます。
ただし、いずれの月であっても月末には、不動産の契約の関係から引越し件数は多くなりますので、最大限の割引を期するならば、月初め、月中の引越しがお勧めです。
⒉時間帯から考える
面倒な引越し作業は午前中に片付けて、午後からじっくり荷解きをしたい。そう考える方は多いものです。
ですが、作業開始を午前中に限定してしまうと、料金は割高になります。
何故か。引越し会社の配車担当は配車の際に近隣の引越し数件を纏めて1つのチームに任せます。
ですが、午前指定した現場が完了した次の現場が近隣に存在しない場合、そのチームは午後から稼働しない事になります。もし、午前の指定がなければ、一現場を終えた午後に作業に入る配車が組める可能性が発生するのです。
ですから、時間指定は料金割増を誘発するのです。
可能ならば、日付の指定のみで終日時間の取れる日を引越し日に設定しましょう。
時間設定をしなければ、作業員が来るまで全く動けないじゃないか。との指摘もあろうかと思いますが、ご安心下さい。配車担当は毎日、2日〜3日先の配車を組むという業務を行っています。ですから、引越し日の2日〜3日前の配車が確定した時点で、当日の目安の作業開始時間の連絡が来ます。
⒊荷物から考える
引越しを期に断捨離をしましょう。
とは言っても、なかなか上手くは行かないものですよね。
ここで筆者がお話したい事とは、後述するオプションに関係する事柄にもなってきます。
今のお住いで使っている家具の中に、自宅でご自身で組み立てた物はありませんか?
もしおありでしたら、それは部屋や玄関から外に運び出せるでしょうか?
例外的にベッドは分解・再組み立てを前提として作業員は作業を行いますが、それ以外に関しては分解・再組み立てはほぼ行いません。(簡単に分解・再組み立てができるメタルラックや上下分割できるタンス・食器棚等は除く)
部屋や玄関から出し入れできない場合は『窓吊り』という特殊作業のオプションが必要になります。時として、買い替えた方が安く上がるようなオプションです。
そして先程、ベッドは分解・再組み立てを前提としていると申しましたが、IKEAのベッドはこの前提に含まれません。これは、IKEA製品が全般的に木ネジを使用している為です。木ネジを使用した家具は一度分解すると、強度が著しく低下する為、再組み立てを行えないのです。(一部地域ではIKEA専門の搬出入業者もありますが、もちろんオプションです。しかもこれも買い替えた方が安く上がる料金です。)
もし、玄関から運び出せない家具やIKEAのベッドをお持ちでしたら、処分も選択肢に入れる必要があるかもしれません。
もう一つは、荷物の質ではなく荷物の量です。
引越し業者は概ね5㎥(立米)毎に料金を区切って算出しています。これをスペース料金と呼びます。因みに、1立米は市販の120サイズのダンボールおよそ8個分です。
例えば、10立米で2万円のスペース料金が発生すると仮定します。ですが、ダンボール1個が余計で10立米に収まらなかった場合、15立米の扱いになってしまいスペース料金も2万円では収まらなくなる。という事です。
という事で、営業が見積を終えた時点で、「だいたい何立米くらいになってますか?」と言う質問をぶつけてみてください。その数字次第では、細かいものを少し自力で運ぶ、あるいは何かを処分すれば引越し料金が安くなる事が期待できます。
⒋オプションから考える
引越し業者には様々なオプションが存在しています。
無料と謳っているオプションは積極的に利用して、有料オプションを徹底的に排除する。
これで料金は安くなる。
当然の事実ではありますが、この項目では可能性の観点から必要なオプションを付けると言う話をさせて下さい。
まずは保険です。
この保険は意外とくせ者でして、引越し業者によっては、見積金額に保険料を載せていないケースもあります。当然ですが、無保険ですと、万が一家財や家屋に損傷があった場合に引越し業者は一切の補償をしません。
ですので、見積りの際は必ず保険の対象範囲と料金を確認して、加入する事を強くお勧めします。
続いてはエアコンの取り外し・取り付けのオプションです。
エアコンに関する作業を自身で行うのは非常に困難ですので、大抵の方がオプションとして作業を依頼する事になろうかと思います。
ここにもトラブルの原因というか、落とし穴があります。
エアコンに係るオプションは、その殆どが最低限、基本の脱着工事のみの料金である。という事です。
部屋にエアコンを付けて外に室外機を置くだけではエアコンは作動しません。本体から室外機までの配管が必要になります。この配管は基本の脱着工事の料金に含まれないのです。
新居のエアコンの設置位置によって配管の長さは変わりますし、実際に取り付けなければ分からない項目ですので、料金として提示できないのです。
エアコンの脱着オプションは+αの料金となる事を念頭に置いておきましょう。
次は洗濯機の設置に関するオプションです。
洗濯機の設置から排水ホースの接続までをサービスで行ってくれる引越し業者と、洗濯機の設置後は専門業者が排水ホースの接続から動作確認までをオプションで行う引越し業者とがあります。
両業者の差は何なのか。それは万が一の水漏れ事故の補償の有無です。
引越し作業員は水周りの問題を解決する事を業としていない為、万が一水漏れが発生しても何も補償ができないのです。
筆者の実体験ですが、以前の引越しで、無料で設置・接続をしてもらったが、水漏れが発生。暫く気が付かず、階下からの忠言で気が付いたが、状況が悪く40万円の諸費用がかかった。という事がありました。
専門業者委託のオプションは予算に余裕があるなら、是非付けておいた方が良いかと思います。
⒌見積りから考える
「ここの引越し業者しか使わない!」と心に決めてないる方には縁のない項目になってしまいますが。
まず、見積りは早ければ早いほど、値引きの幅が広がります。
日付が先であればある程、業者側の引越し件数も少ない、あるいは案件がない状態です。勿論、日にちが進めば自然と件数も増えてくるでしょうが、そんな保証はどこにもないのです。
ですから、件数の少ない、あるいは無い時期に見積りを頼むという事は、引越し業者としても仕事を確保する意味で取りこぼしたくない案件になってきます。
取りこぼしたくない、という事は多少の赤字覚悟で値引きを行う。という事になります。
ですが、あまり遠い先だと、こちらも予定が立たない・・・という事態にもなるかと思いますが、ご安心を。
『ある程度の目安』でよいのです。営業に「〇月の〇日頃を目処に引越しを予定してる」と伝えれば、平日・週末料金をそれぞれ算出してくれます。
引越し日が決まったら、改めて値引き交渉をしましょう。
ただし、見積書の有効期限は3ヶ月と定められているので、早すぎる見積りはできません。
例えば、7月の中頃に引越しを予定しているなら、4月の下旬に見積りを依頼すると良いでのです。
それから、見積りは最低でも3社以上にお願いしてください。
引越し料金を抑える一番の方法は、引越し業者同士で競合させることです。
1社のみの見積りですと、競合他社がいないので、営業は料金をふっかけてきます。
ですが、数社からの見積りがあれば、引越し業者間でのイス取りゲームが始まるのです。
営業はこの言葉に弱い!
- 「A社の評判とサービスの質はいいのでぜひお願いしたいのですが、B社が〇〇円なんですよ。料金が同じならA社にお願いしたいのですが。」
ここでのB社の〇〇円は自分の希望金額で構いません。実際に数社から聞いた金額で、相場観は見えると思うので、そこから値切ってみましょう。
- 「B社は『今日中の返事なら〇〇円で』と言ってくれたんですけど、A社の△△さんの印象が良かったので、B社より安くできませんか?」
営業の常套手段である『今決めてくれたらこれだけ安くします』これを逆手に取りましょう。その場で即決してしまっては、選択肢が無くなってしまって勿体ないので「返事を少し待って下さい」と、決定を先延ばししましょう。
- 「〇〇円にしてくれるならA社にお願いします」
上記とは矛盾しますが、交渉の最終段階で非常に有効な文句です。『決めてくれる』という一言は、営業が上司と掛け合う上で最高の武器になるのです。
ぜひ、値引き交渉に活用してみて下さい。
とにかく、複数社からの見積もりを取りたい方へ
大手を中心に高品質の引越しをしたい方へ
番外編.長距離の単身赴任の方へ
遠方へ単身赴任をされる方にお勧めの方法です。
とかく、長距離の引越しは荷物が少なくても、とんでもない額の引越し料金になりがちです。
そんな時は、引越しをしないという手があります。
!?!?
ってなりますよね。
冒頭で否定した『引越し業者を使わない引越し』を行うのです。
と言っても、運ぶのは衣類や日用品の類、生活に最低限必要なもののみです。
しかも、運ぶ先は最寄りの郵便局。
そうです。荷物を郵送してしまうのです。
意外と知らない方もいらっしゃいますが、ゆうパックには個数の制限はありません。それどころか、纏めて送ると割引きが適応される場合があるのです。
生活に必要な家電等は、現地調達するのです。リサイクルショップや、最近では家電のレンタル業者も増えてきています。ネット通販で購入して、送り先を赴任地にするという手もありますね。
注意点としては、ゆうパックは個数の制限が無い代わりに、1個の荷物に対してサイズの制限があります。
30㎏以内で3辺の合計(縦+横+高さ)が170㎝以内という制限です。ホームセンターで市販されているダンボールなら、概ね大きさはクリアしています。
アイリスオーヤマ チェスト ロング 幅44×奥行74×高さ23cm ホワイト/クリア MG-7423W
- 出版社/メーカー: アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)
- メディア: ホーム&キッチン
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上のような衣装ケースもサイズはクリアしているので、衣類を入れてケースが見えないように、包装紙等で梱包すれば、そのまま郵送できます。
しかも、重ねれば即席のタンスとしても利用できます。
自身で梱包して、郵便局まで持ち込む手間はかかりますが、場合によっては引越し費用を大幅に削減出来ます。
実際に筆者自身も、お客様にこの方法を提案した事も何度もあります。(上司には怒られましたけど)
いかがでしたか?元引越し屋の目線から、引越しをお考えの方々に少しでもお役に立つ情報を、と思い綴らせて頂きました。
この情報が多少なりとも誰かの役に立ちますように・・・